木の葉天目ってご存知ですか?
自然の木の葉の形が、そのまま残った美しい天目茶碗のことです。
南宋時代(12~13世紀)に中国の吉州窯で焼造されたのが起源と言われており、今でも天目茶碗に限らず、さまざまな茶碗や器に自然の木の葉を残す挑戦が続けられています。
僕自身、木の葉天目の存在を昨年はじめて知り、そんな素晴らしい茶碗があるのか!?と感動しました。
そしてほどなく、お茶の葉を使った天目茶碗、「茶の葉天目」は作れないのか?!というアイデアに到達しました。
通常、木の葉天目は、珪酸分が多い葉が使われることが多く、特に椋の葉が良いとのこと。
茶の葉による天目茶碗や他の陶器は未だみたことがありません。
であれば!作ってみようじゃないか!?ということで、チャンスを探っていました。
しかしながら、木の葉天目を教えてくれた陶芸家さんの言う通り、木の葉天目ができる確率は千分の1や一万分の1とのことで、実際にやっている陶芸家さんはそれほど多くありませんでした。
そしてこの冬、ふらっと入った西新宿の茶道具屋さんで、木の葉天目について尋ねたところ(その店には置いてなかった)、偶然、無名異焼(新潟佐渡)の木の葉天目の作家さんが今まさに銀座に出展しているとのこと!
さっそくお会いしたのが、新潟・佐渡ヶ島の無名異焼(むみょういやき)の陶芸家・細野利夫さんでした。
無名異焼 陶芸家・細野利夫さんのウェブサイト
無名異焼・玉堂窯元ホームページ
念願の木の葉天目(椋の葉製)も手に入れ、そして茶の葉天目のアイデアも細野さんにお話することができました。
「木の葉天目である以上、茶の葉天目だったら、なお面白い!」
と力説したところ、細野さんも面白がってくださり、ついに茶の葉天目プロジェクトがスタートしました。
そして4月。
新芽よりも硬化した茶葉のほうが、釉化しやすいとのことで、めいっぱい成長した茶葉を200枚くらい送らせていただきました。
しかし結果は失敗・・・
理由は、葉(特に葉脈部分)の珪酸分が足りないため釉化しないとのことでした。(ビミョウにあとは残るけど、なんの痕跡か判らないくらいとのこと。)
細野さんいわく、
「茶の葉は常緑樹なので、落ち葉が少ないかもしれないが、落ち葉を集めてくれほしい。椋の葉の場合も落ち葉を使う。」
ということで、
生まれてはじめて、茶の落ち葉を拾い集めました。笑
(しかもインターン生も一緒に!)
今回の挑戦で茶の葉天目が生まれるのか!?は、まだ分かりませんが、うまくいくといいですよね~。
ぜひ茶の葉天目でお茶を飲んでみたいものです。
この記事を書いたおぶぶメンバー-Author Profile
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シングルオリジンの荒茶(あらちゃ)の魅力、そして喜多をはじめ茶産地・和束に生き、茶に命をかける人々の情熱に感激し、おぶぶの立ち上げより参画。
まだ世界に知られていない、日本茶の魅力を世界に伝えるべく、文字どおり世界じゅうを駆けめぐる多忙な日々を送る。
おぶぶの伝道師。日本茶インストラクター第7期。1974年、奈良出身。
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