この日は、お茶の香りの学校「ラ カンテサンス」にて、日本茶と香りのワークショップを開催させていただきました。
今回のワークショップを企画してくださったのは、パリで長年、パフューマー(香水の調香師)として活躍していたカリーネさん。
そのカリーネさんが、調香師やそのインストラクターの仕事を引退して、2年前に立ち上げたのが、お茶の香りに特化した学校「ラ カンテサンス」。今回、そこでワークショップを開催いたしました。
カリーネさんは「ラ カンテサンス」を立ち上げる前から、お茶の会社数社のコンサルティングやスタッフトレーニングの依頼を受けておられます。
今回のワークショップの直前には、スイスのお茶の会社ヌンシャンのバンクーバー支店のスタッフ・トレーニングに行かれていて、一週間前に帰国されたばかりとのことでした。
カリーネさん曰く、お茶の会社からスタッフ・トレーニングの依頼を受ける度にお茶の香りについて、体系だった教育の必要性を感じており、それが「ラ カンテサンス」設立につながりました。
昨年パリでカリーネさんにお会いして、初めて「ラ カンテサンス」の事を知り、非常に面白いと感じ、今年ついにご一緒させて頂けることになりました。
香水の場合、様々な香りの要素をかけ合わせて、目的の香りを作ります。
お茶の香りをかぎ分ける場合は、その逆で、そのお茶(例えば煎茶)の香りに含まれる成分をかぎ分け、その複雑に絡み合った香りの成分を因数分解し、それぞれの単一の香りの成分にして表現してゆきます。
カリーネさんはすでに中国茶で、この手法を用いて、様々な産地のプーアル茶の香りを香水で再現するという試みを始めています。
今後、日本茶でも同じアプローチで各産地の標準的な香りを作ってみたいとの事。
(楽しみですよね!)
この日は、
・玄米茶
・太陽の煎茶(春)さえみどり
・玉露「天の雫」
・ほうじ茶
・ニードルシェイプ和紅茶
をお出ししました。
そして、磯の香り5種類、柑橘系の香り5種類、緑の香り5種類、花の香り5種類と合計20種類の香りを試しました。
その後、煎茶7種類(やぶきた(春・夏・秋)、さえみどり(春)、在来品種(春)、かぶせ(やぶきた)、玉露(おくみどり)を試飲し、20種類の香りと比較してみました。
このような取組は、自分たち自身もこれまでに未体験のアプローチだったので、とても楽しませていただきました。
まだ予定の調整が終わっていないのですが、できれば来年のジャパニーズ・ティー・マスターコースでカリーネさんの香りのワークショップも提供できればという話にもなりました。
「日本茶の香りをパリの香水の調香アプローチで表現する」という、これまでにない領域の扉がついに開かれました。
今後に乞うご期待です。
カナダから帰国直後にも関わらず、このようなワークショップを企画してくださったカリーネさん、お手伝いをしてくれたルイース、そして参加者の皆様、本当にありがとうございました。
この記事を書いたおぶぶメンバー-Author Profile
- シングルオリジンの荒茶(あらちゃ)の魅力、そして喜多をはじめ茶産地・和束に生き、茶に命をかける人々の情熱に感激し、おぶぶの立ち上げより参画。
まだ世界に知られていない、日本茶の魅力を世界に伝えるべく、文字どおり世界じゅうを駆けめぐる多忙な日々を送る。
おぶぶの伝道師。日本茶インストラクター第7期。1974年、奈良出身。
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