緑茶の健康効果 part2
こんにちは!全3回のシリーズ、第2回「緑茶の健康効果」にようこそ!
(※元の記事は2022年6月に国際版(英語)HPにアップされています。元の記事(英語・スペイン語)はこちらから!なお、記事中の※は訳者による注です。)
今回は緑茶の健康効果について話していきます。また、緑茶が身体機能や栄養素の吸収に影響を与えていると考えられている他の効果についても、軽く触れていきます。
なお、この投稿は専門的な助言として受け取られることを想定したものではありませんから、身体疾患がある方は必ず医師と相談してください。
緑茶は古来より健康飲料として重んじられ、お茶、特に緑茶と人間の健康とのかかわりについては長く評価されてきました。そのため、緑茶の健康効果については科学的な研究がたくさん存在します。しかし、それらの研究のほとんどは動物に対して、もしくは試験管内でのみ行われたものなので、人間を対象にもっと多くの研究がなされて、大好きな緑茶の効果が真に確かめられるのを待ちたいところです。
抹茶は茶葉全体を挽いて粉にしたものを摂取するわけですから、緑茶の効果を最大限にとることができるお茶です。しかし、抹茶ラテ(私は朝飲むのが好きです)として楽しむ場合は、豆乳、カゼイン※1、乳清に含まれるプロテインがカテキンと結合して緑茶の抗酸化作用を減少させ得るということを知っておいてください。
※1 牛乳に多量に含まれるたんぱく質です。
主なカギとなるのは抗酸化作用!
酸化ストレスと炎症※2は多数の慢性疾患の大きな要因となっており、緑茶のカテキンはフリーラジカル(遊離基)※3を掃除することによって細胞の損傷や酸化を妨げることに一役買っているのです。
そんな働きをする緑茶カテキンの抗酸化物質が私たちの身体にどのような効果をもたらしてくれるのか、説明していきます。
※2 酸化ストレスは、炎症を伴う非常に多くの病気と関連しています。
※3 反応性の高い不安定な原子・分子のことで、過剰に発生することで体内で有害な酸化作用をもたらします。
抗発がん作用
緑茶カテキンの一つ、エピガロカテキンガレート(EGCG)の抗がん効果には
①腫瘍増殖の抑制 ②抗酸化作用 ③がんへの変異→変異細胞の過剰増殖→そしてがん形成 へと繋がる炎症プロセスを抑圧する
といったことに関係している可能性のあるメカニズムがあります。
抗炎症作用
炎症は身体を傷や感染から守るための反応です。関節炎などが起きている体内においては炎症反応の一部をなす連鎖的な酸化反応とそれによる酸化ストレスの増加が起こっているのですが、緑茶の抗酸化作用はそのストレスを減少させます。
抗菌作用と抗ウイルス作用
研究によると、緑茶に含まれる成分には大腸菌、黄色ブドウ球菌、ネズミチフス菌、リステリア菌、口腔細菌の成長を抑制する作用があります。紅茶から作ったコンブ茶※4と緑茶から作ったコンブ茶の性質を比較した研究では、緑茶から作ったコンブ茶のほうがカテキン含有量が高いため、より多くの菌に対して抗菌作用をもっているという結果が出されています。また、緑茶カテキンのエピガロカテキンガレート(EGCG)には幅広い抗ウイルス性があるようで、コロナウイルスに対する緑茶の効果について実験を行っている研究もあります。
おぶぶのまつさんもこの話題について過去にブログで取り上げています。 まつさんが書いたブログ「お茶とエピガロカテキンガレート(EGCG)」(英語)
※4 同じ音の「昆布茶」とは別物の発酵食品(飲料)です。
心臓保護作用
カテキンは血液中のコレステロール値を低下させると考えられており、そのため冠状動脈性心疾患のリスクを下げることができます。さらに、先に触れた抗炎症作用は心臓発作のリスクを下げる可能性があります。
血液中のグルコース濃度の低下
デザートや油っこい食事の後に緑茶を飲むと少しすっきりするように感じたことはありませんか?緑茶はインスリンの分泌を促進し、消化管からの脂肪と糖の吸収を減少させることによってグルコース産出を減らします。このような理由もあって、私も個人的に甘い食べ物を食べた後にはsugar crash※5が起きないよう、緑茶を飲んでいます。とはいえ、空腹時に大量のお茶を飲むのは逆効果で、低血糖症になりかねないので気を付けてくださいね。
※5 糖分をたくさん含む食事によって血糖値が急激に上がった後、インスリンの作用で今度はその血糖値が急激に下がってしまい、眠くなったりすることです。
脂肪値の減少
緑茶は先に触れた効果によって、運動やダイエット、健康的なライフスタイルなどと同じように内臓脂肪の減少を助ける可能性があります。また、肝臓の脂質を減らす可能性もあります。
口腔衛生の向上
複数の研究によると、緑茶の抗菌効果によって虫歯やプラーク(歯垢)を減少させたり、エナメル質が溶け出すのを防いだりすることができます。
アンチエイジング
自分の身体の老化プロセスを受け入れることは素晴らしいことですし、ありのままの自分を愛することが大切ではありますが、緑茶の抗酸化特性には老化プロセスのスピードを下げる効果があるかもしれません。外用薬的に緑茶を用いることによって※6、紫外線放射(UVR)、シミ、シワ、皮脂産出の妨げに非常に効果があるとされています。
※6 例えば、緑茶ポリフェノールを用いた製品など
緑茶のマイナス効果
私たちが大好きな緑茶ですが、たくさん飲む場合はその副作用や自分の健康状態、遺伝的特性を心に留めておかなければなりません。
鉄分(やその他の薬剤)吸収の妨げ
緑茶のポリフェノールは鉄分の吸収を妨げ、食事から摂取した鉄分の効能を減少させる可能性があります。なので、鉄分の豊富な食べ物や鉄分を補給するサプリメントと一緒に緑茶を飲むのは控えた方がよいでしょう。また、緑茶はモノアミン酸化酵素阻害薬(MAOI)、リチウム、アデノシン、抗凝血剤のはたらきを抑制する可能性があります。
胃腸障害
みなさんはどうかわかりませんが、私の場合はときどき、空腹時に濃い抹茶を飲むとその後でちょっぴり気分が悪くなることがあります。緑茶のタンニンが胃酸の産生を増やす効果があり、そのために胸やけを起こすためだということが考えられます。
肝毒性
実は緑茶のポリフェノールが体内で一定の濃度に達すると、酸化ストレスと肝毒性を引き起こす可能性がある、ということを示す薬理学的・毒物学的な証拠があります。実際に、減量のために緑茶の抽出成分でつくられたサプリメントを飲んで肝臓障害が出てしまった人もいます。
抗凝血
カテキンは血小板凝集を阻害するため、体内の血液がきちんと凝固しにくくなるでしょう。そのため、ワルファリンなどの抗凝血薬やアスピリンを飲んでいる人は医師に相談することが大切です。
カフェイン
私たちが大好きなカフェインですが、健康に良い効果もあれば害にもなりえます。カフェインは心拍数を増やし不安感を与えたり震えを感じさせたりすることがあり、身体を動かす能力に影響を与えうるのです。カフェインは膀胱に強い刺激を与える可能性があるので、神経性膀胱炎がある人はそのことを知っておいてください。
以上、緑茶がもっている身体の健康への効果のうちいくつかを紹介しました。ここでは脳への影響について触れていませんが、そちらは次回お話ししようと思います!
それでは、次回のブログで会いましょう!
(参考文献など、詳しい情報はブログ原文をご覧ください!💁♀️)
緑茶の健康効果について
Part1はこちらから!
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