こんにちは!「緑茶の健康効果」シリーズの最終回です。
(※おぶぶインターン生・ルーデスが書いた元の記事は、2022年7月におぶぶの国際版(英語)HPにアップされています。元の記事(英語・スペイン語)はこちらから!なお、以降の※は訳者による注です。)
おぶぶのブログにこの記事を書けたことを嬉しく思います。この記事がみなさんにとってお茶についての知識を深める手助けになることを強く願っています!
第1回と第2回では、お茶の成分について話し、それから緑茶の身体的な効果に的を絞って話してきました。
そして今回は、お茶の脳への効果と心理学的な健康についてお話します。
私たちは、1191年に中国から粉末茶、茶の種、そして喫茶文化をもたらした明菴栄西(みょうあん えいさい)さんに感謝しなければなりません。(お茶の歴史について、もっと知りたい方はこちらを見てください。過去の国際インターン生が執筆した英語ブログです。)
栄西さんは緑茶による病気の治療法を説く『喫茶養生記』という本を書き、日本に禅宗をもたらし、そしてお茶は瞑想の助けになるので僧侶たちはお茶を飲むべきだと説きました。緑茶が脳に与える効果について理解すれば、私たちもこのことがよくわかるでしょう。
注意力と記憶力を高める
テアニンとその脳への影響について、ここでじっくり考えてみたいと思います。
テアニンは認知タスクが行われている間に血液脳関門※1を通り抜けることができるという能力と持っているのですが、それによって絶えず変動する人間の脳波の、アルファ(α)波、ベータ(β)波、シータ(θ)波を調節するということが示されてきました。アルファ波は安静もしくは瞑想的な精神状態にある時、ベータ波は働いている時や思考している時、シータ波はレム睡眠・夢を見ている時に見られ学習面や記憶面で大変役立ちます。
テアニンとカフェインは精神的作業(頭を使う作業)に良い組み合わせです。テアニンがカフェインを抑制してくれることによる恩恵を受けられるのです(詳しくはpart1の「カフェイン」の項目をご覧ください!)。
栄西さんが長時間の瞑想中の喫茶を僧侶たちに勧めた理由がわかりましたね。例えば私の場合は、勉強や試験、公の場で話す前や剣道の稽古の前に緑茶を飲むことで、たくさん助けられてきました!
まとめると、脳のアルファ波、ベータ波、シータ波へのテアニンの効果は集中力を持続させたり、優先順位を付けたり、作業記憶※2のはたらきに役立ったりするのです。
テアニンは茶樹の根で合成され、幹を通って葉に貯蔵されます。収穫の前に茶を2-3週間被覆することによってテアニンの分解を遅れさせ、これによって葉のテアニン量が高く保たれます。
※1 脳には血液脳関門(けつえき のう かんもん)と呼ばれる物質の取り込み調節機構があり、特定の物質しか通しません
※2 何か作業をしている時に一時的に使う短期記憶のこと
ストレスと不安への対処に役立つ
グルタミンとGABAはドーパミンとセロトニンの放出の引き金となる脳の主要な興奮性/抑制性の神経伝達物質システムになっているのですが、テアニンはそのグルタミンとGABAに似ています。
テアニンはまた、ストレスホルモンであるコルチゾールを短期的に低下させてくれるので、ストレス対処の手助けになります。それでも、緑茶の摂取は私たちのメンタルヘルスをお世話するための手段の一つに過ぎない、ということを気に留めておかなければなりません。
テアニンがどのように茶葉の中に貯蔵されるか、そしてうま味がそのテアニンによるものだということを覚えていますか?茶樹は害虫から身を守るため、葉をその小さな虫たちにとってあまり好ましくない苦い味にしようと、カフェインの産生をふやします。例えば玉露はカフェインとテアニンの含有量が高いのですが、(テアニンが落ち着けてくれるとはいえ)カフェイン含有量の高いお茶を飲むことで不安感も与えられてしまうのです。実際に私も、抹茶を飲みすぎた時びっくりするほど頭が冴えると同時に、極度な不安感に襲われたことがありましたが、それも納得できることです。カフェインに敏感な方は、緑茶を1,2杯にとどめておくか、ちょうどいいバランスを見つけるようにしてください。
栄西さんが言ったように、「もし身体が衰弱し意気が消沈すれば、また心臓をそこなっていることを知るべきである。しばしば茶を喫すれば、気力は強く盛んになってくる。」のです※3。
※3 原文は「若身弱意消者、可知又心藏之損也、頻喫茶、則氣力強盛也。」こちらの全訳注を参照しています。
神経変性を防ぐ
緑茶の抗酸化作用は細胞の損傷や炎症を防ぎ、テアニンの鎮静効果はストレスによる脳の萎縮を防ぐ可能性があります。そのことによって、脳機能の低下を抑え、アルツハイマー病やパーキンソン病のような神経性の病気を防ぐ可能性があります。
以上、緑茶の、脳や心理学的な健康に対する効果の一部を紹介してきました!
お茶はティーラバー・お茶好きの私たちにとって、とっても重要なものです。日本茶が私をおぶぶへと連れて来てくれ、そして人生のなかでも最高の時間をもたらしてくれました!
こうしてブログを書きながら一人で味わったり、インターンの仲間たちや友人たちと一緒に楽しんだりというふうに、お茶は(例えばトルコ・イギリス・中国・日本・モロッコなど)世界中のあらゆる文化のなかで、あらゆる職業や立場の人々にとって、日常生活の一部となっています。
日本では栄西さんが鎌倉幕府の三代将軍・源実朝への二日酔いの治療薬として抹茶を用い、それが効果を発揮したことで緑茶が武士階級の間で人気になりました。そして千利休が戦国時代に茶道を発達させ、政治や外交において大変重要な役割を果たしました。岡倉覚三が『茶の本』の中で言っているように、「茶は薬用として後飲料となる。」のです。
お茶が世界を動かしているといっても過言ではないですよね。
下の表はみなさんが求めている性質に合わせて、おぶぶのお茶を選べる手助けになればと作成したものです。成分に関しては、茶葉に栄養素がたっぷりと蓄えられた春摘みのお茶(一番茶)に最も多く含まれています!被覆をしない露地栽培のお茶は抗酸化物質(カテキン)の含有割合が高く、被覆栽培のお茶はテアニンの割合が高いので集中力を高めたいときには被覆栽培のお茶が良いでしょう。夏摘みのお茶(二番茶)は夏の天気によってとても速く成長し、より速く収穫されるので、春摘みのお茶と比べると同じだけの成分量を保ったり、まろやかな味を出すことはできません。秋摘みのお茶はまろやかな味わいがありつつ茶葉の中に成分もいくらか残っているので、手軽に、日常的に飲むお茶として良いでしょう。
緑茶の健康効果
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