竹林の中の茶畑を案内してくれる趙さん。
(これは、日本の常識で言うなら、耕作放棄した茶園ですね。手摘みだから、維持管理できると言えます。)
竹露茶園の茶作り
韓国茶作りの始祖 趙さんの御祖父母
もともと野生していた茶の木から茶作りが始まった竹露茶園の茶作り(つまり韓国の茶作り)。
それは、現在の日本の茶作りの常識(少なくとも京都・和束の茶作りの常識)からするとかなり衝撃的なものでした。
まず、竹露茶園の茶の育成における特徴は、すべて無農薬・無肥料。
趙さんの茶畑の茶木。幹は細め。
茶葉は、日本のものに比べると葉薄い。
ハマキガの幼虫などは皆無で、
病虫害は少なそう。
日本でも最近、無農薬はよく耳にするようになって来ましたが、肥料をやらないというのはまだまだ珍しいといえます。
しかし趙さんの茶畑では、茶作りを始めて以来50年間、無農薬・無肥料で行っているそうです。
また、趙さんたちが茶作りをするハドン郡では、2006年より茶園への農薬の散布は、禁止されたとのこと。(違反すると出荷停止になる。)
今の日本からするとかなりラディカルで先進的な取組みといえます。(日本でも100年前とかは、すべて無農薬だったに違いないですが。)
この日お仕事されていた、お母さんの一人。
(春は摘み子さんにもなるそうな。)
そしてお茶の収穫は、4月中旬~5月中旬にかけて4回。すべて手摘みでの収穫しているそうです。
収穫の最盛期には、25人の摘み子さん(趙さんいわくお母さん。つまりそのくらいの年齢の女性。)が収穫に奔走そうです。
収穫した茶葉は、すべて釜炒りで製茶。
韓国では、この時期が梅雨にあたり、収穫一週間、雨一週間という具合で、収穫が進んでゆきます。
4月中旬、梅雨に入る直前に一芯(葉が開く前の新芽)摘みで収穫するのが、「雨前(ウジョン)」と呼ばれ、最高級の緑茶になります。
こちらが雨前(ウジョン)。一芯摘みなので、
中国茶の白茶に似ている。
竹露茶園の「雨前(ウジョン)」は、韓国大統領の国賓への手土産にも使われているとのこと。(すごい。)
そして、一週間の梅雨をはさんで、一芯一葉で手摘みするのが、「細雀(セージャク)」。
収穫後半の大き目の茶葉(中茶、大雀)は、
硬いので、釜炒りのあと揉捻機で揉む。
その後、梅雨をはさみながら、「中茶(チュンチャ)」、「大雀(テージャク)」と収穫が進んでゆきます。
この2つについては、緑茶にするとともに発酵茶(紅茶)にも加工するとのこと。
茶しぶしっかりと浸み込んだむしろ
このむしろの上で手もみする。
韓国の発酵茶(紅茶)は、手摘みで収穫した茶葉を、一時間ほど日干萎凋(いちょう)させ、軽く揉んだ後に6時間ほど室内萎凋(いちょう)させます。
※日干萎凋(いちょう)とは、
茶葉を直射日光にさらして、酸化発酵させる製茶技法。ウーロン茶などでも同様の製茶技法を用いる。
こちらが発酵茶。
その後、釜炒りで発酵を止め、さらに軽く揉んで、乾燥させて出来あがり。
茶木の樹高は、日本に比べると低い感じ。
以上4回の収穫が、竹露茶園での茶葉の収穫のすべて。
4月~5月にかけての収穫のあと、茶木を地上30cmくらいの高さで刈り、緑の葉をすべて落と茶色の枝だけにします。(日本で言うところの中刈りに近い感じ?日本では、通常三年に一度くらい中刈りをするが、ここでは毎年行う。)
竹露茶園では、緑茶以外に菊の花の茶など、
9種類のお茶を作っている。
(こういう展開もいいのかもしれません。)
このほかの作業としては、収穫前3月に軽い草取りや圃場の整備をするくらいであるため、実質の作業は、3~6月の4ヶ月程度。
日本の茶作りに比べると、非常に作業が少ないといえます。
竹露茶のお茶の販売について
韓国のお寺
このようにして完成した茶葉の多くは、お寺のお坊さんに飲まれているそうです。
韓国では、まだ緑茶は一般的ではなく、日常的には、麦茶やトングレ茶(ユリ科の多年草植物の根のお茶)などが飲まれており、緑茶はかなり高級品のようです。(実際、趙さんのお茶も手摘み・手もみで作られているだけあって、日本円で換算しても猛烈に高い・・・。)
ソウルにあるロッテデパート
お坊さんのほかには、高級デパートなどで販売されたり、後はインターネット経由でも直接小売しているそうです。
また無農薬・無肥料のお茶は世界的に見ても珍しいため、海外との取引もすでに始まっており、2010年時点で、フランス、スイス、チェコなどに販売実績があるとのことでした。
▼つづきはこちら
【世界の茶園】韓国・ハドン 竹露茶(チュンロチャ)
(1)韓国茶の概要
(2)韓国茶の歴史
(3)竹露茶の茶作り
(4)韓国茶の未来
(5)番外編~韓国ぷちぷちマメ知識
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